竹内秀樹のサイトデザイン講座(2000年12月)

竹内秀樹(バリューネット)が、Webサイト(ホームページ、HP)をデザインし、問い合わせをフォームを設置する個人や企業、あるいは、電子メールを始める中堅・中小企業に必要な基礎知識をまとめました。

無料テンプレートやデザイン素材

Webサイトや電子メールを手軽に開始できるホスティング、Webページを作成するのに役立つ無料テンプレートやデザイン素材、市販ソフト、そしてインターネット通販の開始を支援するECサイト構築サービスについて紹介する。

独自ドメインとサーバー

「http://www.自社名.co.jp」というURLのWebサイトを立ち上げたり、「×××@自社名.co.jp」というメールアドレスで送受信するなど、独自ドメインをインターネットで活用したい。この時には、作成したコンテンツをインターネット上に公開するWebサーバーと、電子メールを配信するメールサーバー、そしてDNSサーバーが必要だ。

パソコンに割り当てられるIPアドレス

DNSサーバーとは、インターネットにつながっているサーバーやパソコンに割り当てられているIPアドレスという数字列を、「自社名.co.jp」のような文字列であるドメインに変換して処理できるようにする役割を持つ。IPアドレスは、いわばインターネットにおける住所に当たるのだが、数字列のままではユーザーにとっては扱いづらい。このため、文字列に変換するという処置を取るわけだ。

レンタルサーバーの問い合わせフォーム

サーバーを構築する方法には、自前でそろえる自社管理か、サーバーを貸すサービス提供会社を利用するホスティングやレンタルサーバーが挙げられる。レンタルサーバー業者の中には、格安料金で問い合わせフォームのシステム・プログラミングや、サイトのデザイン素材・テンプレートを提供しているところもある。

自社で管理する場合は、膨大な手間とコストがかかる。導入にはシステムの設計から始まって、サーバーの購入や高速な専用線の敷設など初期投資がかかる。運用には、コンピューターやネットワークに詳しい担当者が欠かせないし、サーバーの稼働状況を常に監視する体制が必要だ。その代わり、自由にシステムを構築できる。基幹システムとのデータ連携など大規模な運用を考えているなら、自社管理するメリットはある。

情報化投資による出費をなるべく抑えたい、専任のシステム管理者を置く余裕がないといった中堅・中小企業にとってはホスティングやレンタルサーバーがお勧めだ。多くのレンタルサーバー業者が、Webサーバーとメールサーバー、DNSサーバーの機能をまとめて貸し出している。申し込みから利用までの期間は、1~2週間程度を見ておけばいい。

メールアドレスの設定・追加
Webページ更新

サーバーの管理はレンタルサーバー業者が請け負う。しかし、製品情報を追加するためにWebページを更新したり、メールアドレスの設定や社員の増加に伴うメールアドレスの追加といった変更作業は、レンタルサーバー業者に依頼しなくても、自社のパソコンからインターネットを通じてサーバーに直接アクセスして処理できるケースが最近では増えている。

一口にホスティング(レンタルサーバー)と言っても、サーバーの利用形態には、3種類のサービスがある。1台のサーバーを複数の会社が利用する「共用サーバー」と、1台のサーバーを1社が使う「専用サーバー」、そして1台のサーバーの中に複数の仮想サーバーを用意して1社1サーバーの環境を実現する「バーチャルサーバー」だ。

CGIプログラム
掲示板やフォームメール

共用サーバーを使うメリットは、低価格である点。例えば、NTTPCコミュニケーションズの月額利用料はわずか3500円だ。「企業が電子メールとWebサイトを運用するのに必要な機能を定額で安く提供する」(宇多村一清ネットワーク事業部IPサービス営業部インターネット営業課主査)。また、ラピッドサイトのように、掲示板やフォームメールなどWebサイトを充実させるためのCGIというプログラムを無償提供しているところもある。

サーバー内のデータ領域は会社ごとに分かれており、データが漏えいしない仕組みになっている。ただし、複数の会社が同じハードと回線を利用するため、負荷をかける処理を実行したり、アクセスが集中したりするとパフォーマンスが落ちる。そこで、「随時サーバーのリソースなどをチェックし、負荷の高い会社にはプランを変更してもらうなどして、最低限のパフォーマンスは維持している」(ラピッドサイトの大澤貴行テクニカルサポート)。

初心者向けは「専用」でなく「共有」サーバー
データベース

専用サーバーならこうした問題は生じない。「住宅に例えると、共用は分譲マンション、専用は一戸建て。最低限、必要な機能はそろえているし、望めば自由にカスタマイズできる」(リンクの岡田元治社長)。例えば、リンクでは、ハードのスペックアップやOSの選択が可能だ。2台借りてWebサーバーとデータベースサーバーを連携するといった作り込みもできる。

バーチャルサーバーは、共用と専用の中間に当たる。ハードや回線は共通だが、「OSレベルでは独立して動作しているため、他社の影響を受けない」(クボタシステム開発の日原偉ビジネスシステムセンターITチーム課長代理)というメリットがある。

UNIXの知識が不可欠

レンタルサーバー会社(ホスティング業者)はたくさんある。ただし、専用サーバーやバーチャルサーバーを十分に使いこなすには、UNIXなどの知識が不可欠だ。まずは共用サーバーで始めてみて、物足りなく感じたら、専用サーバーなどに移行すればいいだろう。

無料でダウンロードできるプログラム
HTMLの知識不要

Webサーバーを確保したら、次はWebページの作成だ。ちょっと前まではWebページを記述するのに使うHTMLの知識がなければ、見栄えのよいWebページを作成できなかった。しかし最近では、無料でダウンロードできるプログラムやテンプレート、デザイン素材、市販のホームページ作成ソフトでも機能が充実している。文字を入力したり、画像を配置するだけでWebページが完成する。ページを分割して表示するフレームを取り入れたり、画像と文章が重なっている凝ったレイアウトを実現することも簡単にできる。

フリーランスのデザイナーに依頼不要

WebページのデータをWebサーバーに転送するツールや、リンク先の変更などによる不具合を発見するサイト管理機能も用意している。会社案内や製品紹介を掲載するWebサイトなら、わざわざ専門のデザイン業者やフリーランスのデザイナーに依頼せずとも市販ソフトで十分にまかなえる。

アイコンやイラストなどの素材
「FrontPage」「ホームページ・ビルダー」「ホタル」

代表的なホームページ作成ソフトを見てみよう。初めてWebサイトを作るユーザーでも扱いやすいのが「FrontPage」「ホームページ・ビルダー」「ホタル」の3製品。テンプレートを豊富にそろえているし、アイコンやイラストなどの素材も充実している。文字を立体的に表示したり、GIFアニメーションでイラストを動かす処理もできる。

アクセスカウンターや検索フォーム

使用時に注意しなければならないのが「FrontPage」。アクセスカウンターや検索フォームなどの一部の機能は、FrontPage 2000 Server Extensionsを導入したWebサーバーでないと動作しないからだ。FrontPage対応のレンタルサーバー(ホスティング事業者)を使うようにしよう。

Webページ用の画像作成に特化
Dreamweaver、Fireworks

一方、「Dreamweaver」と「GoLive」は、Webサイトデザイン業者も利用するソフト。データベースとの連携を進めるなど、デザインにこだわった本格的な商用サイトを作り込みたいユーザー向けと言える。また、マクロメディアでは「Dreamweaver」と、Webページ用の画像作成に特化したグラフィックスソフト「Fireworks」をセットにした「Studio」(価格2万2000円)というパッケージも用意する。

javascript

もちろん、Webサイトを自社で手作りするのではなく、デザインは業者に任せて、データの更新だけをホームページ作成ソフトで自分たちで処理する方法もある。ただし、ホームページ作成ソフトによっては、自動的に独自の仕様にHTMLやjavascriptを書き換えるケースがある。ページの更新を自分たちで行う場合は、依頼したWebデザイン業者にどのホームページ作成ソフトを使えばいいのか、あらかじめ確認しておこう。

テンプレートに文字と画像を貼り込むだけ

「デザインにはこだわらない、手っ取り早く自社のWebサイトを持ちたい」。こんな企業を対象にするサービスもある。サービス提供会社が用意するテンプレートに文字と画像を貼り込むだけなので、実に手軽にWebサイトを開設できる。

Webアンケート

NTTコミュニケーションズの「エントリー7」は会社概要や新着情報、問い合わせ用のフォームメールなど、7ページにわたるWebサイトを作成できる。ガイアックスの「Link with U」は、掲示板やチャットの設置、Webアンケートの実施などコミュニティ機能が充実している。ただし、独自ドメインは使えない。スマートファームの「e-ビジネススターターパック」は、企業イメージアピール型、商品アピール型など5パターンのテンプレートがあり、Webサイト開設の目的に合わせて選べる。

ECサイトを立ち上げる
う受注や精算に関するプログラム

インターネット通販を開始したい企業も多いだろう。しかし、自分でショッピング用のWebページを作成するのはかなり面倒だ。顧客が選んだ商品を購入画面に表示させ、同時に配送料や消費税を計算した結果を返すという受注や精算に関するプログラムを作成しなければならない。また、クレジットカードやコンビニエンスストアに対応した決済システムを用意したり、顧客の購入履歴を管理するデータベースも必要になる。そこで、EC(電子商取引)サイト構築に関する業務を請け負うサービスを利用する手がある。

注文ボタン

1999年7月のサービス開始以来、わずか1年ほどで利用企業が3500社を超えるなど、急速に伸びているのがEストアーの「ストアツール」。自社のWebサイトが「注文ボタン」を取り付けるだけでECサイトに早変わりする。

具体的には、企業はまずEストアーのサーバーに価格や配送料などの商品情報を登録しておく。そして、商品紹介のWebページに「注文ボタン」を取り付ける。商品ごとに「注文ボタン」と商品情報が対応する仕掛けになっている。このため、顧客が「注文ボタン」をクリックすると、Eストアーが管理する購入画面が開き、「注文ボタン」に対応する商品情報を表示する。注文が確定すると、受注メールを企業と顧客に配信する。

顧客のクレジットカードから代金を回収

決済や物流のサポートもある。例えば、顧客のクレジットカードから代金を回収して企業の指定口座に振り込んだり、指定日に商品を集荷して顧客へ配送する代行サービスをオプションとして用意する。つまり、ECに関するバックエンド業務を一括して任せてしまえるわけだ。

月額3900円の低価格

リンクマネージの「Eコマースマネージ」も、「注文ボタン」を取り付けてECサイトを構築できるサービスだ。月額3900円と、低価格で利用できる

最初からECサイトの開設を目的とするホスティングサービスもある。既にECサイトのシステムが用意されており、企業は商品説明や画像を登録したり、支払い方法を設定すればいい。

Web画面上に「在庫切れ」

IVPの「電子賃貸店舗」は、顧客管理機能が充実している。顧客のメーリングリストを作成したり、購入履歴を表示することが可能だ。パレードの「ホットケーキ」は商品管理に力を入れている。商品が売り切れるとWeb画面上に「在庫切れ」と表示したり、在庫が残り少なくなると仕入担当者に電子メールで知らせる機能がある。

市販のECサイト

クエスチョンズは「通販開業」という市販のECサイト構築ソフトを販売すると同時に、購入者向けにホスティングサービス「Shop@Server」を提供する。通販開業専用なので、ウィザードに従って設定できる。

サーバーの構築には、自社管理とホスティングがある
自社管理

サーバーを社内で運用する。自由にシステムを構成できるが、コンピューターやネットワークに詳しい担当者が必要になる

ホスティング

サービス提供会社が所有するサーバーを借りて利用する。が、使えるアプリケーションが制限されることもある。コストを抑えることができる

ホスティングサービスには3種類ある
共用サーバー

1台のサーバーを複数の会社で利用する

バーチャルサーバー

1台のサーバーに複数の仮想サーバーを構築する

専用サーバー

1台のサーバーを1社で利用する

レンタルサーバー(ホスティングサービス提供会社)の例
企業名サービス名
NTTコミュニケーションズメール&ウェブ100
NTTPCコミュニケーションズWebARENA Suite
ファーストサーバビジネス100
GGCビジネスプラン
スタンダード
クボタシステム開発vServerスタンダードプラン
rServerノービスプラン
リンクAT-LINK専用サーバ・サービス
主なホームページ作成ソフト

テキストを入力したり画像を貼り付けるだけでホームページが完成する

ソフト名メーカー名
Dreamweaver 3マクロメディア
FrontPage 2000マイクロソフト
GoLive 5.0アドビ システムズ
ホームページ・ビルダー V6日本IBM
ホタルパーソナルデービーソフト
エントリー7NTTコミュニケーションズ Link with Uガイアックス e-ビジネス・スターターパックスマートファーム